釉薬の調合に関する本は、素人向けのものからプロ向けの専門的なものまで色々出版されています。
私もいろいろ持っているのですが、本の知識はあくまで理論的なことが多く、いざ実戦となると思ったものと違うものになることがほとんどです。
釉薬は調合のほかに、素地の種類とか焼成温度とか、条件によって全然違うものになってしまうので、違うものになるのもしょうがないし、そこから研究していかなければいけない、と思っていました。
でも、そんなこんなで真面目に本の通りに調合していて、あることに気がついたのです。
それは、本に書いてある調合は、成功、失敗、仮説を含め、全て載っている、ということです。
あくまでデータ、理論であって、実戦ではないのです。
そんなことははじめから分かっている、という人にとっては当たり前のことなのですが、私はつい最近までそれに気がついていませんでした。
そんな中、このルーシー・リーの「ルーシー・リーの陶磁器たち」という本は私が釉薬を調合する際、とっても参考になりました。
この本はそもそも釉薬の調合の本ではないのですが、ルーシー・リーが実際に釉薬を作るときに書き残したメモとか調合例が載っています。
もちろん、(メモなので)失敗例とかもあるのですが、これがめちゃくちゃ実戦的なのです!
この本から得た知識は今の私の釉薬調合の土台そのものです。
このような本を出版してくれた人たちに感謝の気持ちでいっぱいです。
もし釉薬の調合、特に、ルーシー・リーの釉薬に興味がある方は絶対に持っておくべきだと思います。